診断士と行政書士の対立と連携

目次

診断士と行政書士の対立

中小企業診断士と行政書士の対立というのはあるみたいですね。WEB上でしか見ませんが。

大体は補助金の申請が対立軸になるみたいです。中小企業診断士として生きてはいますが、補助金申請にはほとんどタッチしないので、この辺りについては普段見聞きしていません。

行政書士の人と過去は飲みに行くこともしましたし、今後は連携が必要になるんじゃないかなと思うぐらいでした。行政書士資格を持っている診断士もかなりいらっしゃいますし。ただ、気になったので、ちょっと調べてみました。

仕事内容を再確認

■中小企業診断士

中小企業診断士の業務は、中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。
「現状分析を踏まえた企業の成長戦略のアドバイス」が主な業務ですが、その知識と能力を活かして幅広く活躍しています。(中小企業診断協会HPより抜粋)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/80 (厚生労働省:職業情報提供サイト)

■行政書士

行政書士は官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成、同内容の相談やこれらを官公署に提出する手続きについて代理することを業としています。(日本行政書士連合会HPより抜粋)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/85 (厚生労働省:職業情報提供サイト)

行政書士との対立ポイント

基本的に士業の対立というのは独占業務の範囲を超えていないかどうかが全てです。業際なんていう言葉で言われたりすることもあります。

中小企業診断士に関してはそもそも独占業務がないので、他の士業の業務を犯していないかという点に全て集約されます。

仕事内容を見る限りでは、「提出する書類の作成」というところがポイントになるんだとは思います。実際に診断士で補助金申請業務を生業にしている方もいらっしゃるので、そのあたりでぶつかるのかなと思ったりもします。特に「ものづくり補助金」なんでしょうけど。

行政書士の試験

そもそも行政書士さんってどういうことを勉強しているのかを知らなかったので、試験内容・過去問題を確認してみました。

圧倒的に法律関係のものが多く、解けないというのが実感です。ある程度は推察できるものもありますが、合格しようと思えば、かなり勉強しないといけないなと思いました。(まずありませんが・・・)

一方で、経営に関することはほとんどないです。一般常識というところで、1問、2問はありますが、全体に占める割合からすると微々たるものです。

行政書士さんの仕事で気になった点

調べていると結構コンサル業務に出てこられている方が多いようです。もの補助だけでなく、融資関係の相談もしているみたいですし、経営コンサルタント業と名乗っているところもあります。

試験の内容を見る限りでは行政書士さんは法律の勉強はしていますが、あまりビジネスのことに関しては重視されていないように思います。もちろん、業務の中だったり、試験以外で学ばれている方は多数いらっしゃることは分かっていますが、行政書士だからコンサルティングをできるというのは???というのが本音です。

書類のプロフェッショナルですが、だから融資の支援をできるかというのは別問題だと思います。大体融資するのは民間企業ですし。(日本政策金融公庫も商工中金も政策金融機関で、官公署ではないです。)

まず、日本行政書士会連合会が出しているパンフレットを見るだけで、能力的に無理だろうと思われることまでやると書いているのが・・・。再生支援とか事業承継支援でPMIまでできるとか、ベテランの診断士でも困難なことができる・・・?

■行政書士会連合会パンフレットは以下のリンクから
https://www.gyosei.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/47a8ddaffaa5c40ae17791f562063b49.pdf

弁護士さんとも弁理士さんともぶつかっているのは聞いていましたが、業容拡大のために、現実以上の無茶をしているように思います。経産省の知的資産のリンクを貼っていますけど、知的資産の支援をしている「中小タスク」は診断士の設定ですし。

個人的には能力がある方なら誰が支援をしてもいいと思っていますし、無理をしてクライアントの中小企業に迷惑にならなければいいなと思う感じです。

ただ、経営支援(創業支援含む)に関しては間違いなく、中小企業診断士の方が強いと自信を持って言えます。

士業の対立と連携は増えていく

士業共通の問題として、人数の増えすぎがあります。(診断士はどっちかというと足りないという実感ではありますが。)

行政書士さんの全国人数は平成元年度で34,514人、平成30年度で47,901人ということなので、30年間で1.39倍になっているということです。

弁護士さんの全国の人数は平成元年度で13,541人、平成30年度で40,066人ということなので、30年間で2.96倍。

結局、法律家が増えすぎているのは間違いないです。平成元年の新受事件数は4,399千件だったのに対して、3,622千件と17%ぐらい減っています。元々、事件の数に対して弁護士さんが少なかったというのはあると思いますが・・・

弁護士白書の数字はまた違っていて、弁護士一人当たりの民事訴訟件数が3.4件とかなっています。この辺りはよく違いが判りませんが、とりあえず過当競争になっているんだろうというのはあるんだと思います。

結局のところ、過当競争になれば、外に出ていくしかないので、コンサルティング業に打って出るわけで、組織としても業容拡大を目指すわけで、そうなると診断士とぶつかるみたいな話もあるんだと思います。

一方で、診断士の能力を使いたいというところも出てくるでしょう。行政書士さんがされている外国人に関する経営管理ビザにおける事業計画書の作成などは特にその典型だと思います。

その他の士業が新しい仕事をされる場合にも、診断士と一緒にというのは増えてくるような気がします。診断士が上手く連携を促進していくように動いていくのも必要なのかなと思ったりします。

この記事を書いた理由

某掲示板を見ていて、荒れている理由は何だろうと思ったので。調べてよかった気もします。


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中小企業診断士

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